「洋上風力発電」がまた一歩、実用化に近づきました。
3月には小型の実験機を見ました。10月28日、羽根の長さ40メートル、全長172メートルの巨大な風車がいよいよ運転を開始しました。発電能力は20倍になり、一般家庭1800世帯分、2メガワットの電気を作ります。長崎の方々は、南からの風を「はえん風」と呼びます。日本における再生可能エネルギーの世界に、新たな春の訪れを告げる南風となってほしい、との願いを込めて、この風車を「はえんかぜ」と命名しました。
風力発電や太陽光発電は、天候に左右され、出力が安定しないことが弱点です。しかし、洋上は一定の風が吹き、騒音の心配もありません。この洋上風力発電風車は、日本の先端技術を駆使し、上半分を鉄、下半分をコンクリートで作っているため、安価で大量生産にも適しています。さらに、洋上に浮いているため、強い風が吹いても、「柳に風」と受け流し、陸上の風車より台風に強いのも特徴の一つです。
将来的には、この風車で作った電力を水素の形で運搬・貯蔵し、それを使った燃料電池自動車や燃料電池船を走らせることを考えています。風車で作った電気で、水を酸素と水素に分解し、その水素を貯めて、必要に応じて酸素と反応させて電気を作る。そのためには、水素を安全に、簡単に扱えるようにすることが必要ですが、水素をトルエンと結びつけて液体化し、体積を500分の1にして、常温常圧で扱えるようにする世界初の新技術が日本にはあるのです。
このような再生可能エネルギーの導入をまず離島で始めました。なぜなら離島はエネルギーコストが高く、また効果も検証しやすいからです。環境省では、離島発・自立分散型エネルギー社会構築戦略として本年度78億円の予算で、洋上風力、地熱や、海洋エネルギーの推進を図っています。
再生可能エネルギーは現在のように、大規模な発電所を作り、その電気を全国に送電する「中央集権型」エネルギー源としては不向きです。しかし、太陽や風、川、潮流、地熱などその場所に豊富に存在するエネルギー源を見つけ、それによって地域の電力をまかなう「地方分散型」もしくは「地産地消型」としては極めて有望です。私はこの再生可能エネルギーを地域から導入し、地域を活性化し、地域経済を再生したいと考えています。そしてその技術を海外に売り込み、日本経済復活の起爆剤にしたいと思います。
環境戦略国家。環境技術を着々と磨き上げて行きます。