9月3日、内閣改造が行われました。617日と戦後最長となった内閣での環境大臣の任を終えました。
就任以来、「福島の復興無くして日本の再生なし」との方針の下、全力で福島の除染・復興に取り組んできました。これまで行われてきた除染により多くの地域で放射線のレベルは大幅に下がりました。しかし、更に除染を進めるためには、現在、多くの仮置き場に分散して置かれている除染時に出た土などを、安全にかつ集中的に保管する施設をつくることが必要です。中間貯蔵施設の建設により、先祖伝来の土地を手放さななくてはならない地元の方々の思いは察するに余りあります。それでも何度も話し合いを重ね、建設を受入れるとの決断を頂きました。福島の復興への大きな一歩です。
福島の除染復興も重要ですが、環境省の本来の業務も忘れてはなりません。
地球温暖化による気候変動への対応では、ワルシャワで開催されたCOP19(第19回 気候変動枠組条約締約国会議)にて、民主党政権下で設定された、原発を大増設することを前提とした非現実的な温暖化ガス削減目標を、合理的で達成可能な目標へと再設定し、着実な温暖化対策を促すと共に、国際社会での日本の信頼を繋ぎ止めました。
また、削減目標を実現するための省エネキャンペーンや、再生可能エネルギー利用の後押しにも力を入れました。地熱利用大国のアイスランドでは地熱利用により電気の大半をまかなう事例に多くを学びました。国内でも阿蘇山のふもとにある大分県玖珠郡九重町の八丁原地熱発電所を視察し、将来の地熱利用の可能性を確信しました。また風力発電では、長崎の五島列島沖に設置された浮体型洋上風力発電、「はえんかぜ」を始動させることが出来ました。
種の保存に関しては、絶滅が危惧されるトキの保護について佐渡の方々と協力して対策を進めました。漂着ゴミを処理し、農薬を減らし、田んぼに冬も水を溜め、えさとなるドジョウやタニシを増やす。これらの努力は、トキにとって望ましい環境となるだけではなく、長い目でみると、そこに住む人間にとっても望ましいことです。また、ついにレッドリストに載ってしまったニホンウナギについては、中国や韓国、フィリピンなどと共に国際的な保護の枠組み作りを進めました。一方、増えすぎて他の動植物の生態系を脅かすようになったイノシシやシカに対しては、鳥獣保護法を改正し、適確な管理ができるようにしました。
公害問題に関しては、PM2.5などの新たな大気汚染の解決について、日中韓3ヶ国大臣会合などで解決に向けて話し合いを重ねました。また、水俣の地にて開催された国際会議では私が議長を務め、水俣の名を冠する「水銀に関する水俣条約」を140ヵ国の代表の賛成を得て採択することが出来ました。水俣の悲劇を繰り返さないという意思を国際的に広く共有できたことに安堵しています。
私の環境大臣としての任はこれで終わりますが、環境問題に終わりはありません。環境省の皆さんにはこれからも、除染・復興、気候変動、種の保存、公害対策、などの難しい課題に立ち向かってほしいと思います。私もライフワークとして、環境問題に取り組んでいきます!
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