7月上旬は、生き物の生態系に関して、改めて考えさせられました。
7月2日、尾瀬国立公園を視察しました。尾瀬国立公園は福島、群馬、栃木、新潟の4県にまたがり、約37,200ヘクタール。本州で最大の尾瀬ヶ原湿原があります。大変自然豊かな尾瀬ですが、ここでも、シカによる食害が起こっていました。もともと尾瀬にはシカは生息していなかったようなのですが、シカが近年増殖した結果、南から鳩待峠を越えて300頭以上入ってきたとのこと。その結果、希少なニッコウキスゲやミツガシワなどが食べられ、大きな問題になっています。今国会で改正した、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律をきちんと適用し、地元の方々と協力してしっかりと尾瀬の自然を守っていきたいと思います。
7月10日には、生物多様性の10年日本委員会に出席しました。
2011年から2020年までの10年間を、国連は「生物多様性の10年」と定めています。生物多様性とは、一つの生態系の中に様々な生物が生きていること。そんな生物多様性を守る目標として、2010年、名古屋で愛知目標が採択されています。
この愛知目標の日本国内での達成を目指しているのが、生物多様性の10年日本委員会です。この委員会は、経団連の榊原会長を中心に、経済界、学会、メディア、NGOなど様々なセクターの方々のご協力の下で活動しています。人間にとって暮らしやすい環境を作っていくためにも、生物の多様性の確保に力を入れていきたいと思います。
愛知目標、国連生物多様性の10年日本委員会などについて詳しく知りたい方はこちらへ
ところで、人間が生態系に大きく影響を与えている身近な例は、ニホンウナギです。乱獲により数が減り、今年6月にはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに載りました。
実は世界のウナギの7割を日本人が消費しています。ニホンウナギという名前から、日本生まれかとお思いの方も多いかと思いますが、ニホンウナギは太平洋のマリアナ海嶺生まれ。稚魚が海流に乗って中国、台湾、日本までたどり着きます。中・台でも採られて養殖され、成魚や蒲焼として、日本に輸出されています。資源保護には国内だけの対策では不十分です。現在、水産庁が中国・台湾と共に保護の枠組みを作ろうと進めています。
結局、人間本位の大量消費文化が、ウナギの生態系に、大きな負荷を与えているのだと思います。有限な自然からの恵みを大切に、必要な分だけ使っていく。もちろん無駄もゼロに近づける。ウナギを、そして日本の食文化を守るためには、そんな努力も必要です。人間が生きていくうえで、ある程度自然に負荷を与えてしまうのは仕方のないことだろうと思います。ただ、その負荷が大きすぎ、限度を超えてしまうと、自然が回復できなくなってしまいます。その結果として、人間の生活にも様々なマイナスが生じてしまう。ウナギは私たちにそんなことを教えてくれています。
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