アイスランドのヘトリスヘイジ地熱発電所は出力303MW、世界最大の地熱発電所です。
アイスランドは世界でも最も地熱利用の盛んな国です。アイスランドは石油危機をきっかけに積極的な地熱利用に踏み切り、現在は、電力のほぼ全てを地熱発電と水力発電でまかなっています。また、発電に利用した後の熱水をパイプラインで供給し、冬場の暖房にもフル活用しています。アイスランドの地熱発電を支えているのは日本の技術です。日本とアイスランドは、自前の資源を持たない島国として共通の課題を沢山持っています。お互いの経験や技術、ノウハウを共有し今後も協力していくことを確認しました。
ネシャヴァトレル発電所は環境との調和を第一に作られた地熱発電所です。
右手で白煙を吹き上げているのが発電所、左手の湖の向こうには世界遺産でもあるシンクベトリル国立公園が広がっています。ネシャヴァトレル発電所のすぐ隣が国立公園なので、施設のほとんどを地下に作ることで、景観を守っています。また発電と同時に、そのままでも飲めるほどきれいな湖水の水を汲み上げ、地熱で温めて市内までパイプラインで供給しています。
また同発電所では、首都レイキャビクに、電力だけではなく、温水を供給しています。30kmのパイプラインで、温度低下はわずかに1.5度とのことです。
アイスランドは、地熱で総発電量の3割を賄っており、残りの7割は水力です。また発電の他にも、暖房や融雪用のエネルギーに広く地熱を利用しているところに特徴があります。暖房用のエネルギーの約9割は地熱を利用しており、残りの1割も水力・地熱起源の電力です。
私が今回アイスランドを訪れたのも、駐日アイスランド大使のステファンソンさんから「アイスランドの地熱利用の実態を体験し、日本のエネルギー政策に活かしてはどうか」と勧められたことがきっかけでした。日本の地熱利用を推進するため、環境省は2012年3月、規制緩和に踏み切りました。自然環境の保全と調和のとれた地熱利用へ。アイスランドから学べることは沢山あります。