フィンランドのオルキルオト原子力発電所の敷地に、使用済み核燃料最終処分場として使用される予定の「オンカロ」があります。オンカロはフィンランド語で”隠れ家”という意味です。世界的にも最終処分場の候補地が決まっている国はフィンランドとスウェーデンの二カ国しかありません。もちろん、処分場がなければ原発を廃炉にすることもできません。日本のエネルギー政策を考えていく上で、オンカロは大変重要な示唆を与えてくれる施設です。
フィンランドにおける使用済み核燃料の処分については、1978年に実施可能性調査が始まり、2001年に建設予定地が決定され、2022年から処分開始の予定です。実に44年もの歳月をかけて準備が行われています。オンカロでは、18億年前の岩盤に地下450m、全長約5kmのトンネルが完成しており、岩盤の強度や地下水の移動などについて、様々な調査研究が行われています。また、高レベルの使用済み核燃料を扱うオンカロとは別に、オルキルオト原発内には、1kgあたり100億ベクレル以下の中・低レベル放射性廃棄物処分場が設置されています。
オンカロの中に入ってきました。地下450メートル。そこまで、らせん状に掘られたトンネルの中を車で進みます。ここでは、トンネルの天井も壁も堅い岩です。450メートル地点では、使用済み核燃料を入れた容器(キャニスター)を埋めるための直径約2メートル、深さ約8メートルの竪穴がいくつか掘られ、安全性などを確かめる様々な調査が行われています。
2022年以降、100年かけて使用済み核燃料を埋めていく壮大な計画ですが、フィンランドの方々は将来のことを真剣に議論していました。我が国でも、こうした施設の議論を避けては通れません。