2月4日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加の12カ国(オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム)が、ニュージーランドに集い、協定文に署名しました。
TPP協定は、21世紀型の新たな共通ルールをまとめ上げ、アジア太平洋に自由で公正な「一つの経済圏」を作り出す試みです。世界のGDPの約4割(3100兆円)、人口8億人という巨大市場です。TPPはイノベーションを促進し、生産性の向上につなげることで、我が国を新たな成長軌道に乗せるきっかけとなるものです。
TPP協定において、どんなものを関税などの優遇の対象とする「TPP域内原産」と認めるか、という「原産地規則」の取り決めにおいても、充分な内容を確保することが出来ました。例えば自動車部品においては、原産地がTPP域内と認められる条件として、TPP締結国でつくられた部材が45~55%使われれば、それ以外の部分はTPP締約国以外で作っても良いということになりました。この割合は付加価値の合計で計ります。これは我が国産業界の現在の国際的な調達関係でも充分に対応できる内容です。日本で作られた部材を多く使うことで「TPP原産」と認められるので、中堅・中小企業も日本に居ながらにして海外展開がしやすくなり、「メイドインTPP」の製品をTPP締約国に売り込んでいくことができます。
また「政府調達」やサービスの分野についても成果が出ました。例えば、WTOの政府調達協定に入っていないマレーシアやベトナムがWTO加盟国並に政府調達市場を開放することになります。公共事業やコンビニ・金融などのサービス分野における市場開放が進み、我が国の企業にとって大きなチャンスとなります。
「知的財産」も期待できます。アニメなどのコンテンツは我が国の有望な輸出産業です。著作権の保護期間が70年までに延長されましたので、長期に利用できるコンテンツを輸出することで、利益が期待できます。
さらに農林水産業の輸出についても、農商工が連携して取り組むことでTPP市場を獲得していくことができると思います。私は、官房長官や農水大臣がメンバーである「農林水産業の輸出力強化ワーキンググループ」の座長として、様々な課題への対応を6月までにとりまとめ、関係者の皆様を応援していきます。
これから政府では、TPP協定とともに関連法案を国会に提出し、承認を求めていきます。そして日本が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めていきたいと思います。TPPのメリットを最大限享受できるよう、政策大綱に盛り込んだ様々な施策も含め、政策を総動員して企業の更なる海外展開を後押ししていきます。
日本以外の国における関税の即時撤廃率は約8割。貿易額で約15兆円分に掛かっていた関税が撤廃されることになります。TPP協定の経済効果は発効後直ちに出ると思います。
TPPは一つのツールです。TPPを大きなチャンスとして活かし、実際に皆様方に行動して頂くことで「強い経済」が実現できます。TPPに対しご理解をいただき、そして積極的に活用して頂くことをお願いします。
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