東京オリンピック・パラリンピックを契機とした環境省の取組

環境省がこれまで検討してきた、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした環境省の取組の方向性が具体化しました。各分野の有識者の意見をうかがった上で、①大会そのものについての取組、さらには、②東京都市圏の中長期的な環境面での課題について、環境省の考えをまとめました。正直なところ、実現に向けては課題が山積しています。今後、関係府省や東京都、区と緊密に連携し、具体化に向けた検討を行っていく予定です。

総論
オリンピック憲章には、「オリンピック競技大会開催について、持続可能な開発を促進する」と明記されています。
東京を中心とした都市圏は、G7の主要国一国に匹敵するインパクトがあります。気候変動問題をはじめとする人類共通の課題に対して、東京の取組で世界に貢献することが求められます。
具体的には、「環境にやさしい五輪」と「環境都市東京」の実現です。

 

低炭素まずは、低炭素社会づくりです。
2020年は温室効果ガスの削減目標年という節目の年です。
2020年目標の確実な達成と2050年80%削減に向けた取組を加速化させなければなりません。
大会運営全体を通じて温室効果ガスを削減します。
また、再開発の機会を活用して、最先端の低炭素技術の導入や、燃料電池車の導入が重要です。

 

 

方向性2次は、ヒートアイランド・熱中症対策です。
東京の平均気温は、前回の1964年大会のときと比べてもすでに1℃以上上がっています。
真夏の大会ですので、選手や観客の暑さ対策は大きな課題です。マラソンコース周辺をはじめとする大会会場周辺において、歩道の日差し除けやミストの噴霧などの熱中症対策を行ってまいります。
また、中長期的に東京を快適な都市にしたい。このため、建物や自動車交通からの排熱の低減や、緑地・水面・風の道の確保などの取組が重要です。

 

方向性33番目は、良好な大気環境の実現です。
前回の1964年大会の時と比べてると、東京の空気は随分ときれいになりました。しかし、まだ課題は残っています。
PM2.5対策や光化学オキシダント対策などを進めます。特に、夏場に発生しやすい光化学スモッグを防止するために、NOx(ノックス ※1)の排出抑制、VOC(ブイオーシー ※2)対策の実施が重要となります。
※1 NOx ・・・窒素酸化物
※2 VOC ・・・揮発性有機化合物